第1単元
■両利きの経営
・スタンフォード大学のオライリー教授と,ハーバード大学のタッシュマン教授の経営理論で,企業がイノベーションを起こすためには,「知の深化(exploitation)」と「知の探索(exploration)」をバランスよくおこなうことが必要とされる。
■ダイナミックケイパビリティ
・ハイパーコンペティションにおいて,環境変化に対応して既存の資源,資産,知識,技術を再構成,再配置,再利用することをとおして自己を革新する能力
■丹羽宇一郎
・伊藤忠商事会長・社長,日本郵政株式会社取締役
■ハイパーコンペティション
・多くの業界,ビジネス環境において将来予見が十分にできない状態
■エクスポネンシャル・テクノロジー
・指数関数的成長曲線を描くすべての技術,一定期間ごとに性能が倍増していく技術
■M-PESA
・通信事業会社サファリコムが提供するモバイルマネーサービス
■アリペイ
・アリババのグループ企業,アント・フィナンシャルが提供するモバイル決済サービス
■アリババ(阿里巴巴集団)
・中国の新たな社会インフラ企業で,巨大Eコマース企業,モバイル決済「アリペイ」,物流事業,クラウドコンピューティング,金融事業などを展開する。
■アマゾン
・1994年,ジェフ・ベゾスが自宅ガレージではじめたネット書店からスタートし,物流,クラウドコンピューティング,金融サービスなどを展開するエブリシングカンパニー
■芝麻信用(ジーマクレジット)
・アリババのグループ企業,アント・フィナンシャルが開発した個人信用評価システム
■3Dプリンティング
・積層造形のモノづくりの方法
■POS(販売時点情報管理)システム
・商品の販売時点でその商品に関する情報を単品単位で収集し,それにもとづいて売上や在庫を管理するためのシステム
■ビッグデータ
・ビッグデータそのものは典型的なデータベースソフトウェアが蓄積,分析できる能力を超えたサイズのデータである。膨大なデータの分析から現象のトレンドを予測したり,現象間の関連を明らかにして人びとの生活やビジネスに役立つ知見を導出することを可能が可能になる。
■AI(artificial intelligence)
・言語の理解や推論,問題解決などの知的行動をコンピューターにおこなわせる技術
■カスタマージャーニー
・顧客が商品やサービスに対するニーズをもってから最終的な購入や利用にいたるまでの過程
■カスタマーエクスペリエンス
・商品やサービスに対する金銭的,物質的な価値だけではなく,商品を使用したときやサービスをうけたときに感じる心理的,感覚的な価値
■アマゾンゴー
・店舗内に複数設置されているカメラとマイク,棚に設置されたセンサーの組み合わせ,ディープラーニングアルゴリズムなどの技術を駆使してレジにならばずに自動で支払いが完了する無人小売店
■アップル
・iPhone,iPadをはじめとするデジタル家庭電化製品,インターネット関連製品,およびそれらに関連するソフトウエアの製造,販売を手掛け,1980年の創業以来わずか38年で時価総額がアメリカではじめて1兆ドルを超えた企業
■フェイスブック
・世界最大のソーシャルネットワーキングサービスを提供する企業
■インスタグラム
・フェイスブックが提供する写真共有ソーシャルネットワーキングサービス(2012年,10億ドルで買収)
■メッセンジャー
・フェイスブックが提供するインスタントメッセージサービスやテキスト通信,音声通信をおこなうアプリケーションソフトウェア
■ワッツアップ
・フェイスブックが提供するリアルタイムでメッセージの交換ができる世界最大のスマートフォン向けメッセンジャーアプリケーション(2014年,218億ドルで買収)
■オキュラス
・バーチャルリアリティ向けヘッドマウントディスプレイ(2014年,フェイスブックが20億ドルで買収)
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第2単元
■カーネギー学派
・認知心理学に基づく「企業行動理論」,「知の探索・深化の理論」の総称で,この学派の牽引役の3人がともにカーネギーメロン大学の関係者だったことに由来している。認知心理学理論の始祖はノーベル経済学賞受賞者,ハーバード・サイモン
■農業革命
・食料生産の飛躍的増加がもたらした輪作の導入,集約的土地利用などの農業技術の改革
■産業革命
・綿織物の生産過程におけるさまざまな技術革新,蒸気機関の開発による動力源の刷新を意味し,現代のインターネットの普及と同等以上のインパクトをもたらした。
■アメリカ大陸横断鉄道
・セントラル・パシフィック鉄道とユニオン・パシフィック鉄道が結合してできあがったアメリカ全土をつなぐ鉄道網
■分業論
・生産過程における効率性を高めるためにとられた役割分担のシステムであり,これを理論的に定式化したのがアダム・スミスの『国富論』である。
■社会的分業
・分化した職業が相互関連して全体として統合した社会
■アダム・スミス
・イギリスの哲学者,経済学者
■神の見えざる手
・経済活動を個々人の私利をめざす行為に任せておけば,市場経済の自動調節機構をとおして社会全体の利益が達成されるという理論
■エミール・デュルケーム
・『社会分業論』において社会学を「道徳科学」と位置づけ,人びとの統合をうながす社会的要因として道徳の役割を提唱した。
■ホーソン工場実験
・シカゴ郊外にあるウエスタン・エレクトリック・カンパニーのホーソン工場において,1924年から1927年,1927年から1932年におこなわれた一連の実験と調査
■人間関係論
・生産性を高めるためには従業員のモラールを高めることが必要で,そのためには職場の人間関係の改善が必要であるという考え。
■経済人の仮説
・人間は完全情報にもとづいて利潤極大化や費用最小化を利己的に追求するとする人間観
■社会人の仮説
・人間を動かすのは経済的報酬だけではなく,集団に所属していることの安心感や仲間とともに働く喜びを得るためとする人間観
■公式組織(フォーマルオーガニゼーション)
・意識的に調整された人間の活動や諸力の体系
■非公式組織(インフォーマルグループ)
・個人間の相互作用をとおして自然発生的に形成される意識的な構造や制度をもたない社会的結合
■行動科学
・人間の行動を科学的に解明しようとする学際的アプローチ
■SCP(structure-conduct-performance:SCP:構造-行為-成果)理論
・産業構造や業界の状況が企業の成果を規定し,独占に近い業界ほど安定して収益性が高いとする理論
■RBV(resource based view)
・企業内部の経営資源に競争優位の源泉を求めるアプローチ
■組織の経済学
・組織が抱える構造問題の本質,個人,組織がビジネス取引で直面する課題を,不確実な環境のもとでの合理的な個人の行動を理論化することをとおして説明する理論
■コダック・モーメント
・自分の人生を記録したいという願い,一瞬のチャンスをとらえ記録したいという願望
■「知の探索(exploration)」
・自身,自社の既存の認知の範囲を超え,認知を広げていく行為:アイデアの発掘
■「知の深化(exploitation)」
・自身,自社の有する知識を掘り下げ,磨き込み,徹底的に利用する行為
■オーディナリーケイパビリティ
・ものごとを正しくおこなう能力
■ダイナミックケイパビリティ
・正しいことをおこなう能力
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第3単元
■科学的管理法
・フレデリック・テイラーが20世紀初頭に提唱した労働者管理の方法論
■フレデリック・テイラー
・科学的管理法の発案者で「科学的管理法の父」と称される人物
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第4単元
■ジュール・ファヨール
・フレデリック・テイラーとともに経営管理論の礎を築いた人物で「管理原則の父」と称される。
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第5単元
■ケースメソッド
・観察者によって細心の注意をもって記録され,経営の現実性と細部にわたる実在性をともなった事実を題材として,学生自らの判断にもとづき,自分の頭で考えることを目的としておこなわれる学習方法
■ジョージ・メイヨー
・人間関係論を生みだし,経営学史上にその名を刻んだ人物
■人間関係論
・生産性を高めるためには従業員のモラールを高めることが必要で,そのためには職場の人間関係の改善が必要であるという考え
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第6単元
■有機的組織
・職務権限が柔軟で,情報は組織内のあらゆる場所に分散し,水平的なネットワーク型の伝達構造をもつ分散型組織である。そこではメンバーが主体的に行動することをとおして有機的に連携しながら事業がおこなわれる。
■機械的組織
・職務権限が明確で,上層部に情報が集中し,トップの命令と指示によって統制される中央集権型組織
■「経済人の仮説」
・経営者は最大の利潤,労働者は最大の賃金を求めるという経済的合理性によって動機づけられるとする人間に関する仮説
■「社会人の仮説」
・人間は単に金銭によってのみ動機づけられるのではなく,同僚や上司との関係など人間の友情や帰属感,あるいは安心感などという人間的社会的欲求をもち,それによってこそ動機づけられるとする人間に関する仮説
■QCサークル
・同じ職場内で品質管理活動を自主的に小グループでおこなう活動で,全社的品質管理活動の一環として自己啓発,相互啓発をおこない,職場の管理,改善を継続的に全員参加で行うもの
■アブラハム・マズロー
・人間性心理学の生みの親とされ,人間の欲求の階層を提唱した人物
■自己実現欲求
・自己啓発や可能性の探究など自分の可能性を実現しようとする欲求
■依存度曲線
・組織における権限への依存度合いをあらわし,軍隊のような組織では上司部下の依存関係が高く権限に基づいた指示命令系統が有効で,相互依存の関係であれば権限に基づく指示命令よりも説得や専門的な支援がより有効であると考えられる。
■アダム的人間像
・人間の動物的側面,知識をもたず,痛みの回避がかれらを動機づけるとする人間観
■アブラハム的人間像
・神によって選ばれたとされる人間像で,精神的成長をとおして潜在能力の実現を目指し,成長の追求がかれらを動機づけるとする人間観
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第7単元
■チェスター・バーナード
・アメリカのベル電話システム傘下のニュージャージー・ベル電話会社社長を務め,その社長在任中の1938年に主著『経営者の役割』を刊行した。
■公式組織
・意識的に調整された2人またはそれ以上の人びとの活動や諸力のシステムで,人間の活動をとおして「部分」と「全体」が常に連動している体系
■協働システム
・公式組織が中核となって物的要因,人的要因,社会的要因が結合したシステム
■組織の3要素
・共通目的(組織目的),協働意思(貢献意欲),コミュニケーション
■共通目的(組織目的)
・組織メンバー個々の個人目的を何らかの形で統合した組織としての目的である。この組織としての目的はメンバーの個人目的と必ずしも一致するとは限らないが,少なくともメンバーの合意を得られるものである必要がある。
■協働意思(貢献意欲)
・協働意思とは,組織メンバーの共通目的を達成しようとする意欲のことで,これを引き出すためには,貢献に見合った「誘因」をどれだけ提供できるかが問題である。
■コミュニケーション
・コミュニケーションとは組織内における情報の伝達のことであり,共通目的と協働意欲とを統合する役割を果たす。コミュニケーションをとおして個人の集まりである組織を全体として統合し,調整する。
■全人モデル
・人間とは過去および現在の物的,生物的,社会的要因である無数の力や物を具体化する単一の,独特な,独立の,孤立した全体を意味する。人間を全体的に理解しようとする立場から,人間は理性とともに感情をもち,個人としての人格とともに社会性も有するものであり,合理的であろうとはするが完全に合理的にはなりえない存在とする人間観
■個人人格
・ひとりの人間としての働く目的(主観的側面)
■組織人格
・協働して達成すべき仕事の目的(協働的側面)
■組織均衡
・組織に参加するメンバーにとって誘因が貢献よりも大きい状態
■有効性と能率
・バーナードにおいて有効性とは組織目的の達成の度合いであり,能率とは組織からの成果配分に対する個人の満足の度合いのことである。バーナードは能率と有効性を一定レベルまでは同等にあつかいながら,究極的には能率が有効性を包摂する概念と位置づけている。
■個人的意思決定
・人間は自分の欲求や目的に照らして誘因が貢献よりも大きくなると考えた場合には組織への参加を決める。
■組織的意思決定
・組織メンバーとして組織人格に基づいた組織目的達成のための意思決定
■権限受容説
・命令が受容され,命令の意図にしたがって部下が行動して,はじめて管理者の権限が成立するという考えで,命令的なコミュニケーションが組織構成員にうけいれられるならばその人に対するコミュニケーションの権威が確認あるいは確定される。コミュニケーションが権威を有するかどうかの意思決定は受令者の側にあって発令者の側にはない。
■誘因の経済
・人間の貢献を誘引するモチベーションの基礎理論である誘因にはプラスの効用・価値と不利益・負担の軽減に寄与する消極的誘因も含まれる。いかなる組織も人びとの貢献が最大となるべく客観的誘因を配分する「誘因の方法」と主観的態度を改変する「説得の方法」を組み合わせる必要がある。協働の失敗は有効性の問題もあるがそれがもっとも明らかになるのは能率の側面であり,モチベーションの問題が管理の根本課題となる。
■オーソリティ
・個人が自己の貢献する行為を支配するものとして受容すべきもの
■職位のオーソリティ
・発令者の個人的能力とは無関係に認められた職位にもとづくオーソリティ
■リーダーシップのオーソリティ
・個人の有する知識や能力によって得られた尊敬に基づくオーソリティ
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第8単元
■道徳
・人間にとっての価値評価の体系であり,価値評価は人間が行動するうえでの基点として個人の選択可能性を自ら制限するルールとして機能する。
■ハーバード・サイモン
・認知心理学理論の始祖,1916年,ノーベル経済学賞受賞
■認知心理学
・知覚,記憶,理解などの対象を認識する作用,および学習によって得られた知識にもとづく行動のコントロールをふくめた認知の過程,すなわち生体の情報処理過程を明らかにしようとする心理学の一分野で,主観的な人間の意識を重視する立場をとる。
■限定された合理性(bounded rationality)
・人間の認知能力,情報処理能力には限界があり,意思決定者は限られた認知のもとで合理的に意思決定をおこなう。人間,組織は合理的であるがゆえにあたえられた条件下で自身にとって最適な選択肢を求めること
■認知の限界
・意思決定者はすべての選択肢を事前に知ることはできないこと
■アッパーエシュロン理論
・ドナルド・ハンブリックらが提唱した理論で,企業の行動やパフォーマンスはその経営者の個性,特性,経験の影響をうけるという認知能力に限界がある人間を仮定した理論
■サティスファイシング
・現時点で認知可能な選択肢のなかから満足できるものを選択しておくという,認知に限界のある人間ができる合理的な意思決定
■バリューネットワーク
・自社,顧客,サプライヤー,流通業者などからなるネットワークであり,企業のドメイン
■制約された合理性
・経済主体が認識能力の限界から限られた合理性しかもちえないこと
■権限
・他者の行為を規定する権力であり,組織において前提を伝達するための基本メカニズムとしての役割を果たすもの
■コミュニケーション
・権限とならぶ人びとの意思決定の前提を伝達する組織の基本メカニズム
■サーチ
・認知の範囲をひろげて新しい選択肢を探索する行動
■アスピレーション
・認知能力に限界のある人や組織が掲げる目標
■パフォーマンスフィードバック
・企業の過去のパフォーマンスが,心理的なメカニズムをとおしてその後の企業行動に影響すること
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第9単元
■組織構造
・組織が有する組織構成員のタスク間の関係とそれをあつかう人間の活動を調整するメカニズム
■組織機能
・組織の目的を達成するために果たすべき働きであり,組織における機能的行動とは組織目的に方向づけられた合目的行動を意味する。
■職位
・組織に置かれる機能分化の単位であり,社会的,身分的なステータスではなく,組織内における職務上の地位を意味する。職位には仕事の質と量である職務が配分され,誰がどのような仕事をどれぐらい担当するのかが決められる。
■権限
・組織内におけるフォーマルな権利であり,職位に応じて意思決定,職務命令,予算執行,人事などの権限がある。
■職務
・その職位をあたえられたひとが果たすべき職責
■コンティンジェンシー(環境適合理論)理論
・環境や条件によって有効な組織のあり方が異なることから,環境や状況に適合させて組織形態を変化させる必要があるとする理論
■職能
・組織における機能
■有機的組織
・職務権限が柔軟で,情報は組織内のあらゆる場所に分散し,水平的なネットワーク型の伝達構造をもつ分散型組織である。そこではメンバーが主体的に行動することをとおして有機的に連携しながら事業がおこなわれる。
■機械的組織
・職務権限が明確で,上層部に情報が集中し,トップの命令と指示によって統制される中央集権型組織
■ライン組織(直系組織)
・上位から下位まで1本の指揮系統で結ばれている組織形態
■職能組織(ファンクショナル組織)
・業務内容によって権限と責任を職能別に区分した組織形態
■ラインアンドスタッフ組織(直系参謀組織)
・ライン組織とファンクショナル組織の両面をあわせもつ組織で,ライン部門の指揮命令系統は一元化され,スタッフ部門はライン部門への指揮命令権限はもたない。スタッフ部門は経営層をとおして組織全体への影響力をもつ。
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第10単元
■3M Company
・1902年に設立された多岐にわたる事業を手掛けるコングロマリットで,60か国以上に現地法人をもち,売上高の60%あまりを海外で占めるグローバル企業
■ミニカンパニー
・3Mにおいて社員が発足させるプロジェクトチーム
■プロダクトチャンピオン
・ミニカンパニーのリーダー
■プロダクトマネジャー(PM)制組織
・特定のプロダクト(ブランド)に関して,企画,開発,製造,販売,マーケティングなどを一貫してあつかう組織
■プロジェクト
・特定のアウトプットを目的とした計画
■プロジェクト組織
・プロジェクト単位で編成される組織でプロジェクトの運営に関して予算や期限の範囲内で権限を有する。
■タスクフォース
・臨時で匿名性のあるプロジェクト組織
■マトリックス組織
・職能,事業などの業務遂行要素の組み合わせによる組織形態で,組織構成員は縦軸と横軸の双方の指揮命令をうける。
■ネットワーク化
・複数の主体を自己組織的(self-organization)にルースに結合する(loose coupling)こと
■ネットワーク組織
・さまざまな主体がルースに結合されたシステムであり,その組織形成の原理として自己組織性をもっている。
■自己組織化
・自然に秩序が生じて自分自身でパターンのある構造を作りだして組織化していく現象
■ティール組織
・存在目的のために組織構成員の精神的な全体性がよびおこされ,生物の生態系のように自然に進化する組織
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第11単元
■チャンドラーの経営戦略
・企業組織がその目標を達成するためにそのおかれているコンテクストのなかで経営資源を的確に配分し,それをもっとも効率的に活用できる組織形態を構築していく意思決定のプロセス
■イゴール・アンゾフ
・Corporate Strategy : An Analytic Approach to Business Policy for Growth and Expansion(邦題『企業戦略論(Corporate Strategy)』)のなかで経営戦略論を確立し,ミンツバーグによって「戦略経営の父」と命名された経営者・経営学者
■部分的無知
・環境変化が激しく企業が決定すべき選択肢の評価基準もあたえられていない高度に不確実な状況
■アンゾフの経営戦略
・企業の事業活動についての広範な概念を提供し,企業が新しい機会を探究するための指針を設定し,企業の選択の過程をもっとも魅力的な機会にしぼるような意思決定ルール
■SWOT分析
・経営資源の強み(strength)と弱み(weakness)からなる内部環境分析と,マーケットの機会(opportunity)と脅威(threat)からなる外部環境分析のマトリックスからマーケットにおけるビジネス機会を探るための手法
■経験曲線効果
・累積生産量の増加にともなって製品数量ごとの間接費を含めた総コストが予測可能な一定の割合で低下していく現象
■プロダクトポートフォリオマネジメント(product portfolio management:PPM)
・Boston Consulting Group(BCG)社のヘンダーソンによって提唱された,事業の潜在収益力を市場成長率と相対的市場シェアを指標とした事業ポートフォリオから推定して,戦略的事業単位(SBU)への資金配分を決定する手法
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第12単元
■SCP(structure-conduct-performance:構造-行為-成果)理論
・産業構造や業界の状況が企業の成果を規定し,独占に近い業界ほど安定して収益性が高いとする理論
■完全競争
・全ての経済主体が価格を所与として行動しているという仮定であり,完全競争下においては企業の超過利潤はゼロになる。
■超過利潤
・組織が存続できる水準の利益を超える利益
■完全独占
・市場において売手または買手が1人で競争者が存在しない状態で,独占者は市場価格を所与のものとして行動するのではなく,限界収入が限界費用に一致するよう価格と生産量を決定することができる。
■限界収入
・生産物を1単位余分に供給したときに得られる収入の増加分
■マイケル・ポーター
・ファイブフォース,戦略グループ,ジェネリック戦略をはじめとするSCPフレームワークを構築した経営学者
■ファイブフォース
・産業の収益性は「競合他社との競合関係」,「潜在的な新規参入企業」,「売り手の交渉力」,「買い手の交渉力」,「代替品」の5つのフォース(脅威)で規定され,フォースが強い産業は完全競争に向かい,フォースが弱い産業は独占,寡占に向かうとされる。
■代替
・同じ用途に用いられる財の関係
■補完
・2財を結合して使用する財の関係
■ジェネリック戦略
・所属している産業内における自社のポジショニングを検討するフレームワーク
■ビジネスモデル
・アミット=ゾットによれば,事業機会を生かすことをとおして価値を創造するためにデザインされた諸処の取引群についての内容・構造・ガバナンスの総体
■GAFA
・Google,Apple,Facebook,Amazon,アメリカ4大インターネット企業の総称
■グーグル
・同社の経営理念は「世界中の情報を整理し,世界中の人がアクセスできて,使えるようにする。
■アップル
・1980年の創業以来わずか38年で時価総額がアメリカではじめて1兆ドルを超えた企業
■フェイスブック
・世界最大のソーシャルネットワーキングサービス(SNS)
■アマゾン
・地球上でもっとも顧客第一主義の会社をめざすエブリシングカンパニー,2019年におけるアマゾン・プライムの会員数は米国内で約8,000万人,アメリカの家計の約64%を占める。
■BATH
・Baidu(百度,バイドゥ),Alibaba(阿里巴巴集団,アリババ),Tencent(騰訊,テンセント),Huawei(華為技術,ファーウェイ),中国を代表する4大IT企業の総称
■アリババ
・物流事業,クラウドコンピューティング,金融事業などを展開する中国の新たな社会インフラ企業
■タオバオ
・2018年度のタオバオとTモールの累計流通額は4兆8,200億元(78兆円)を超える。
■ネットワーク効果
・ユーザーにとってほかの人びとが同じ製品やサービスを使うほど自身もそれを使用する効用が高まる現象,ティッピングポイントを超えてユーザーが増加すると,参加者数が増加し続けやがて独占に近い状態にいたる。
■アリペイ
・アリババグループの提供するモバイル決済サービス,フィンテックを活用してユーザーがアリペイのスマホアプリで簡単に資金移動が可能,アリペイのスマホアプリは,直接的にアリペイグループの銀行,証券,保険,投資信託などの金融サービスが使えるようになっている。同グループのマネー・マーケット・ファンド(MMF)である金融商品「余額宝」の預かり資産額が,わずか4年で世界最大の約2,110憶ドルを超える。
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第13単元
■蓄積経緯独自性(historical uniqueness)
・組織に特有の時間をかけて蓄積,組み合わされる性質
■因果曖昧性(casual ambiguity)
・因果関係が複雑な性質
■社会的曖昧性(social complexity)
・複雑な人間関係,社会的関係に依拠する性質
■ジェイ・バーニー
・企業リソースと「持続的な競争優位」(sustained competitive advantage)の関係についての関係性に関する理論を構築した経営学者
■VRIO
・経済価値(value),希少性(rarity),模倣困難性(imitability),組織(organization)
■持続的な競争優位の条件
・模倣困難(inimitable)で代替が難しい(non-substitutable)こと
■模倣困難性に必要な条件
・蓄積経緯の独自性,因果曖昧性,社会的複雑性
■アクティビティシステム
・企業のビジネスにおける行動のつながり
■SCP(structure-conduct-performance:SCP:構造-行為-成果)理論
・産業構造や業界の状況が企業の成果を規定し,独占に近い業界ほど安定して収益性が高いとする理論
■RBV(resource based view)
・企業内部の経営資源に競争優位の源泉を求めるアプローチ
■組織の経済学
・組織が抱える構造問題の本質,個人,組織がビジネス取引で直面する課題を,不確実な環境のもとでの合理的な個人の行動を理論化することをとおして説明する理論
■IO型競争
・産業の構造要因が競争に影響を及ぼす環境での競争
■チェンバレン型競争
・製品,サービスが企業ごとに差別化されている環境での競争
■シュンペーター型競争
・制度的,経済的要因をはじめとする不確実性が高い環境での競争
■組織の経済学
・組織が抱える構造問題の本質,個人,組織がビジネス取引で直面する課題を,それまでの経済学では無視してきた人間に関しての仮定を取りこむことで説明する学問領域
■情報の非対称性
・取引プレイヤーのどちらか一方だけが偏在的に特定の情報をもっている状況
■情報の経済学
・経済活動における情報の働きを扱う学問
■エージェンシー理論
・情報の非対称性を前提として,契約関係をプリンシパル(委託者,株主ないし投資家本人)とエージェント(代理人,経営者)の関係としてとらえ,エージェントの行動がプリンシパルの利害と一致しないときに発生する問題の構造を明らかにし,その問題に対処する方法を考察する理論
■取引費用(transaction cost theory:TCE)理論
・ノーベル経済学賞受賞者であるウィリアムソンによって提唱された理論で,取引費用理論の分析対象はある制度的なモード下でおこなわれる取引とそこで発生するコストであり,取引で発生するコストを最小化する組織形態,ガバナンスを見つけだすことを目的とする。
■ジョージ・アカロフ
・ノーベル経済学賞受賞の経済学者
■アカロフのレモン市場
・レモンは中古車の俗称で,品質が異なる中古車に関して売り手は本当の価値を知っているが買い手には正確な情報がわからない市場
■情報の非対称性
・取引プレイヤーのどちらか一方だけが偏在的に特定の情報をもっている状況
■私的情報
・取引の一方だけが知っている情報
■アドバースセレクション(逆淘汰)
・良質なエージェントが契約を結ぶことを拒否し,悪質なエージェントのみが契約を結びたがる結果,虚偽表示するプレイヤーだけが市場に残りがちになる現象
■薄い市場
・買い手は市場に参加する魅力を失い本来ならば成立する取引が成立しなくなる市場の状況
■限定された合理性
・人間の認知力には限界があり人間はその限られた将来予見力の範囲内で合理的な意思決定をおこなうこと
■ホールドアップ問題
・おこなわれてしまうと元に戻すのが難しく,しかも交渉相手の強さを増してしまうような投資に関して発生する問題
■資産特殊性
・一方の企業のビジネスに必要不可欠な資産がもう一方の企業に蓄積される現象
■機会主義
・相手を出し抜いてでも自分を利する行動
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第14単元
■組織学習
・学習の役割は顧客価値を創造するために組織をとおして個人の知識を他の組織構成員が利用可能な状態を創りだすこと
■知の移転
・外部から知を獲得すること
■代理経験
・他者の経験の観察から知を獲得すること
■形式知
・命題としての言語化,形式化可能な知識
■暗黙知
・言語化困難な主観的知識,感覚による外界の事物の知覚
■経路依存性
・人びとが直面する意思決定が,過去の経験,経緯,歴史とのつながりが不明になった状況においてもそれらに拘束される現象
■ブリッジ
・2点をつなぐ唯一のルート
■弱いつながりの強さ理論(strength of weak ties:SWT)
・相互に共通の知り合いが多数存在している関係を「強いつながり」,自分たち以外に共通の知り合いがほとんどいない関係を「弱いつながり」としたとき,ブリッジが数多く存在する「弱いつながり」のほうが情報が遠くまでスピーディに伝播する現象
■スモールワールド現象
・アメリカ国内で面識のない2人について,一方から他方へ手紙をだしたとき平均6人でたどりつく現象で,社会心理学者,スタンレー・ミルグラムが1967年におこなった実験で検証された。
■ストラクチャルホール(structural hole theory:SH)理論
・周囲の人間とのつながり方はひとによって異なり,エゴセントリックネットワークはその人のパフオーマンス,出世できる確率,イノベーション創出力などに影響をおよぼす可能性が高いと考えられる。
■ストラクチャルホール
・ネットワークにおける構造的な隙間
■エゴセントリックネットワーク
・自分中心のネットワーク視点
■ソシオセントリックネットワーク
・ネットワーク全体への効率的な情報伝搬
■ブローカレッジ
・ソーシャルネットワーク上でつながっていない人間同士のブリッジとなり,それを活かして優位に立つこと
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第15単元
■両利き(ambidexterity)の経営
・タンフォード大学のチャールズ・オライリーとハーバード大学のマイケル・タッシュマンによって展開される研究で,企業がイノベーションを起こすためには「知の深化(exploitation)」と「知の探索(exploration)」をバランスよくおこなうことが必要
■知の探索(exploration)
・自身,自社の既存の認知の範囲を超え,認知をひろげていく行為,アイデアの発掘
■知の深化(exploitation)
・自身,自社の有する知識を掘り下げ,磨き込み,徹底的に利用する行為
■コンピテンシートラップ
・組織が知の深化に偏りやすい傾向
■ダイナミックケイパビリティ(dynamic capability:DC)
・環境に合わせて変化する力の解明を試みるのがダイナミックケイパビリティであり,急激に変化するビジネス環境のなかで変化に対応するために内外のさまざまなリソースを組み合わせ直し続ける企業固有の能力,ルーティンの総称
■ダイナミックケイパビリティの3つの活動
・センシング,サイジング,トランスフォーミング
■センシング
・事業機会・脅威を感知する力,識別,開発,共同開発,顧客ニーズに関係する技術的機会の評価,カーネギー学派が提唱する「サーチ」と同義
■サイジング
・センシングにより感知した事業機会を実際にとらえ,既存の資源,資産,知識,技術を再構成して競争優位を獲得する能力
■トランスフォーミング
・絶え間ない刷新
■サーチ
・認知に限界のある組織がその認知の幅を広げる活動
■オーケストレーション
・ダイナミックケイパビリティのコアとなる資産オーケストレーションのケイパビリティは,調整・統合,学習,再構成という3つの組織プロセス集合を強化
■共特化
・個別に利用しても大きな価値を生みださない特殊な資源や知識を結合させて生まれる相互補完的な効果で,差別化された製品,サービスを提供し独自のコスト削減をもたらす。
■薄い市場環境
・競合他社が同じ資産を容易に集めることができず,同じ製品,サービスを競争的な価格では提供できない環境
■共特化(補完性)の原理
・それぞれの特殊性がゆえにそれぞれ個別に使用されるとそれほど大きな価値を生みださないが,結合して利用すればより大きな価値を生み出すような相互に補完関係にある資産,資源,知識の結合原理
■ビジネスエコシステム
・事業をめぐる生態系
■規模の経済性
・ある一定の生産設備の下で生産量や生産規模を高めることで単位当たりのコストが低減されるという概念
■範囲の経済性
・企業が既存の経営資源を活用できる事業領域に多角化した場合,経営資源の共用や重複コストの削減をとおして,一製品や一事業あたりのコストを削減できるという概念
■ディープダイブ
・事業課題に直面するマネジャーからの要請で組成され,共同で問題解決や戦略的意思決定をおこなうプロセスで,すべての議論がファクトベースであることが重視され,具体的な問題解決の道筋が明確化されるまで継続される。
■VRIN資源
・value(価値),rarity(希少性),in-imitability(模倣不可能性),non-substitutability(代替不可能性)をもつ資源
■署名つきのプロセス
・それまでの経営活動,特定の状況を学習することに関係する企業の遺産から生じるもの,企業に固有の根深いルールのためそれらはそれを共有しない他企業によっては模倣不可能,それ自体が永続的競争優位をサポートする資源たり得る能力
■資本主義
・資本主義とは市場経済をとおして無限の拡大を志向するシステム,資本主義が存立するための重要な要件は富の総量の拡大
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